
前回、同じような諺が日米で意味が少し異なるという事を書きましたね。今回はそこをもう少し触れてみたいと思います。日米の文化の違いからくるものとは限りませんが、結構興味深いものがあります。物理的に違うもの:のこぎりの刃。日本ではのこぎりは挽いて切りますが、米国では押して切ります。これは刃の構造が正反対のためです。ネクタイのストライプの向き。一般的に日本のとアメリカのものでは向きが反対。日本のものはイギリスから入ってきたとの事です。
仕草にも結構興味深い違いが見受けられます。例えばお金を意味する仕草、我々は手の平を上に向けて親指と人差し指で丸を作りますが、こちらでは親指、人差し指、中指をこする仕草をします。ちょうどお札を数えているような感じですね。写真をとる時良くピースサインをしますが、間違っても手の甲を他の人に向けることはしないで下さい。これは相手を侮辱していると取られてしまいます。そうそう、人やペットを呼ぶ時に手の平を下にして手招きをしますね。ところがこちらでは手の平を上にして手招きします。日本式に手招きしても誰も呼ばれているとは思いません。我が家の猫もこれでは寄ってきません(これは冗談)。
そもそもこちらでは人を呼ぶ時名前を言って呼ぶのだそうです。特に仕事の場では。まあ、手招きをする場合もあるでしょうが、日本式は避けるべきでしょう。こちらでは追い払うときの仕草と誤解されるケースもあるからです。日本では人を人差し指で指す仕草を結構普通に使いますが、これはこちらでは使わないようにしましょう。相手に不愉快な思いをさせてしまう恐れがあります。物に対して指差すのは問題はないと思いますが。指の仕草ではありませんが、相手に誤解を与えやすい動作を一つ。それは腕組みです。我々は色々な局面で腕組みをしますよね。特に考え込んでいる時など半ば自然にでてしまいます。ですがこちらの人がいる会議の席や、話を聞いている時には出来るだけこの仕草をしないほうが無難です。大体この仕草をしている時は往々にしてしかめっ面をして硬い雰囲気に見えます。これがこちらの人にとっては時に攻撃的、心を閉ざしている態度に映る事があるからです。
最後に、あまり問題となる事ではありませんがこちらの人にちょっと不思議に映る仕草を述べて終わろうと思います。頷き:われわれは話を聞いている時とか、色々な場面で頷きますね。でもこちらではあまりしない仕草ですからおやっと思うようです。自分を指す時に日本人は顔を人差し指で指しますが、こちらでは一般的に手の平を胸に当てますからこれも不思議に見えていると思います。これらの違いは全てとは言いませんが日米のコミュニケーションスタイルの違いに起因しているのではないでしょうか? 日本の態度で示すIndirect式と言葉で表現するアメリカのDirect式から来ているのではと思います。これまで述べてきた日米の違いの中でどれがこれに該当するでしょうか?それは読者の皆様のご判断にお任せします。では今回はこの辺で。
* この記事はデトロイト日本商工会の会報「Views」に2019年3月に掲載されたものです。
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